自分がどんな仕事をやりたいのかまだ分からない、という悩みを持っている就活生は意外と多い。
はっきりと答えを言ってしまうと、自分にとってどんな仕事が適職・天職かなどという問題は、年齢や職務経験などで常に変化していくものだ。
新卒の就活生が、1社目に就職した会社の仕事が、自分にとって最適でやりたい仕事であったという確率は、タイムマシンが発明される確率並みに低い。
会社と就業者の間では、ミスマッチが起きやすいと聞くが、それはある意味当然で、アルバイトでの勤務であっても会社の内部の業務を経験させてくれるベンチャー企業や販売業などとは違い、ほとんどの会社は入社してからでないと、業務や業界の内情を知ることができない。
アイドルになりたくて田舎から上京したが、芸能界のブラックな闇の部分(枕営業や汚い金の流れ)などに心底嫌気がさして、アイドル業界から足を洗う人がいるのと同じで、どのような業界でも、理想と現実にはギャップがあるものだ。
そんな中で、自分は本当は何をしたいのか?と立ちどまって見つめ直す場面は、新卒で入社した新入社員だけではなく、中堅やベテラン社員というポジションであっても時々起こりえる。
本当にやりたいことが分からないから自分探しの旅に出る…それも良いでしょう
しかし、自分探しのために世界を一周するぞ!とそんなに大げさに構えなくても、まずは仕事をしながら同時に自分探しをしていった方が効率が良いように思う。
好きな仕事、嫌いな仕事、両方を通じて、はじめて自分の特性や、やりたいこと/やりたくないことが発見できたり、自分が本当にやりたい仕事(ライフワーク)と、現実的に食べていける仕事(ライスワーク)との落としどころを見つけて、進みたい方向性や、仕事や転職における中心軸が決定したりする。
自分がこの世界で何をなすべきか、というのは十人十色であり、価値感は様々なので、何が正しくてどれが間違っているか?などというものは無い。お金を稼ぐのが大好きな拝金主義でも、愛する家族のためでも、国のため社会のためでも、恋人に尽くすためでも何でもいい。
人間という生き物は、生きていく理由、仕事をする理由を持っていないと心理的・社会的に辛くなってくるのだ。そして、価値感や物の捉え方、考え方などは時間の経過と共に変わっていく生き物でもある。
新卒での就職活動の際、無駄にあれやこれやと悩むより、興味・関心・直感で就職先を選んでみて、働くという事はこういうことなのか、と実際に経験してみると、それをきっかけに将来の方向性が見つかったりする。
人というのは方向性を選択する時、案外行き当たりばったりで決めていて、強い決意としっかりとした目的意識を持ってないと考えがグラグラとブレてしまう。
強い目的意識を学生の頃から持っている優秀な人は大丈夫だが、そうでない学生の方が多いだろう。新卒の段階でウジウジと悩んでいる就活生に不足しているもの、それは経験だ。
さっさと社会に出てみて「これは自分の求めていた世界と違う!」と思ったら、転職を考えるなり、外国を旅して見識を広げるなり、ビジネスを始めてみるなり、色々と行動してみるといいだろう。
何より大事なことは、自分自身の未来を信じること。そして、他人に悩みを相談しても良いが、最終的な選択の決定者は自分自身であるべきだ。
経験があると思うが、意外と短時間であっさりと、本能的かつ直感的に選択したことが正しかったりするのは、心理の無意識下で自分のことをちゃんと理解しているからだ。
自分自身が本来所有している「選択する権利」を放棄してしまうということは、赤の他人に人生を奪われ好きなようにされる事と同じ意味だ。
劣悪な環境を強いるブラック企業は思考力や判断力を鈍らせ、黒い鎖で縛りつけようとする。しかし、自分自身を信じる力があれば、黒い鎖も引きちぎれるはずだ。
新卒で、本当にやりたい仕事が見つからないと悩んでいる就活生は、まずは興味本位でもいいので、会社説明会や面接を受けてみるべきだろう。
就職して社会で働くということをあまり重く考えてはいけない。就職なんてものは、力まずに軽い気持ちで取り組んでいっても良いのだ。新卒での就職が、最初で最後の大勝負というのはあまりに大げさすぎるだろう、と私は思う。
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