アップル社の iPhoneを日本で一番早く導入し、大手の NTT ドコモ、AU などの携帯デバイス業界の有名企業に挑戦状を叩きつけ、破竹の勢いで急成長を成し遂げた孫正義率いるソフトバンク。
私の友人に、そのソフトバンクで6年ほど勤務していた人がおり、会社の内部事情などを聞いてみた。
まずは待遇。福利厚生や給与形態などはさすがに大手企業、新卒であってもボーナスを含めて年収350万円以上はあり、もちろん残業代もしっかりと支払われる。
ショップの販売員の年間休日数は、毎週土日休みではないが、週休二日制をしっかりと保っており、連休を取ることも可能だという。
年末の大晦日や年初めは、シフト制勤務になっているので、そこはどうしても通しの連休で休むことはできず、1月の半ばあたりに休みが移動するようで、そこの所はショップの販売員としては仕方がないところかもしれない。
研修制度も設けられており、汐留のホテルに全員で宿泊して行われたりして、新入社員への教育と対応は非常に良いようです。ですが、現場で勤務すると外から見ただけでは分らない辛い所が結構ある、と彼は言っていました。
今や大企業となったソフトバンクで働く上で、辛かった事をいくつか挙げてもらったので、ここで少し書いていきたいと思います。
長時間の立ちっ放し労働なので足腰が辛い
「 IT 企業のソフトバンクの社員と言えども、基本的に店の販売員は肉体労働ですよ。長時間、立ちっぱなしなので、繁忙期には昼の休憩さえもなかなか行けず、10時間前後も立ちっぱなしなので辛いですよ…。」
基本的に店の販売員は立ちっ放しの勤務で、足腰に強い負担がかかってしまい辛い、と文化系人間の彼は嘆いていました。
販売や製造など、立ち仕事のアルバイトを経験した人ならわかると思いますが、10時間前後も立ち仕事をするのは足腰への負担がかなり大きくなります。
実際、その彼もソフトバンクを辞める頃には、立派な腰痛持ちになってしまい、現在でも慢性的な腰痛が出てしまっています。趣味での筋トレなどをしている人であれば、そのような腰痛も起きにくいのでしょうが…。
ともあれ、運動嫌いで、長時間の立ちっ放し勤務という組み合わせは、足腰に疲労を蓄積させ、慢性的な身体疲労に陥るリスクがとても高くなってきます。
「実際のところ、ほぼ毎日残業があり、定時で家に帰れることは、ほとんどないですね。新しい機種の発売キャンペーンの時なんて、終電間近まで仕事をしていて最悪ですよ…。」
座り仕事の作業と違って、立ち仕事の残業は、足腰のみならず身体全体にぐったりとした疲労を与えてしまう。
忙しくて残業続きの時は、たとえ週休2日であっても、全く外出する気持ちになれず、自宅でゆっくり体を癒していたという。
販売ノルマが有り、言葉巧みに追加オプションなどを売らなければならない
「結構辛かったのが販売ノルマですね。新規契約を取って、さらにオプションやフォトフレームなどを、上手く販売していかないと会社の上司にプレッシャーをかけられる。 IT や機械音痴の高齢者を言葉巧みに誘導して、たくさんのオプションをくっつけて売る悪徳な販売員もいたりしますよ…」
キツキツの販売ノルマ主義と、できなかった時の上司からの強烈なダメ出しは、日本の会社の悪い意味での伝統と言える。
別の IT 企業である「楽天」もそうだが、こういった強烈なダメ出しやプレッシャーを利用した悪い伝統が、大手有名企業のソフトバンクでも根深く存在しており、店の販売員に見切りをつけられ辞められる原因だという。
携帯安心オプションやフォトフレームなどの、それほど必要ではない追加オプションを契約させて、自分の販売実績を上げようとするズルイ販売員が現れるのも、うなずける部分はある。
ノルマ達成の対象に利用される人の多くは、おじいちゃんやおばあちゃんなどの高齢者、または主婦なのだという。
「スマートフォンのスの字も知らないような普通のおばあちゃんが、特に必要でもない追加オプションを契約させられて、月額の支払い料を無理に上げられているのを見たことがあります。高齢者の方は、追加オプションの契約解除の仕方も、最終的にかかる費用も理解していません。上手く口車に乗せて、取れるところから取ろうというやり口が、一部ではありますが悪質な販売員にはあったりしますね」
「専業主婦も基本的にデバイスの事なんて分かってないので狙い目ですね。家庭に経済力があれば、色々な支払いにルーズになってくるので、追加のオプションを契約するのにあまり抵抗がありません。このような誘導しやすいお客さんを利用して販売ノルマの実績を上げていくんですよ」
専業主婦や高齢者を狙い、口車に乗せて丸め込むような真似をしてまで、販売ノルマの件数を取っていこうとするその背景には、ノルマ至上主義と会社からの強烈なプレッシャーのシステムが強く関係しているいう。
現場から緊急の呼び出しが頻繁にあるので、エリアマネージャーに休まる時はありません…
頑張って販売ノルマの実績を上げていき、キャリアアップに成功しても、エリアマネージャーに抜擢されたとたん、急激に仕事の内容は激務になるという。
「せっかくの休日であっても、エリアマネージャーというポジションは頻繁に現場から連絡がきます。流れの早い業界なので新機種や新サービスが次々と出てきますから、現場の販売員は、分からないことはまずエリアマネージャーに聞こうという人間が多いです。事実、仕事ができる有能なマネージャーほど依存されて、せっかくの休みが消滅します」
ポジションが上であっても、一番辛いのがエリアマネージャーだと言う。俗に言う中間管理職であり、行き着く先は本社勤務であるが、既に上位の役職は埋まっていて、エリアマネージャーより上位のポジションに出世するには、競争率が数十倍の厳しい闘いに勝たなければならない。
「激務なエリアマネージャーの仕事に3年~5年程耐えても、最終的には人脈的なコネを持っていないと厳しいですね…。だからエリアマネージャーから転職する人間も多いですよ。僕もその1人なんですけどね…」
現実的には、コネや人脈・派閥なども出世コースの方向性にかなり影響があり、コミュニケーション能力が高く、人脈のコネ作りを上手く出来るズル賢い人間しか出世が難しい、というのが本当のところだという。
転職の際には、ソフトバンクという経歴はかなり高く評価される
「転職をしようとした時、民間の一般企業への転職活動を行っていましたが、どこで面接を受けても、大企業であるソフトバンクの職務経歴は非常に好意的に評価されました。ソフトバンクという企業がベンチャー気質で多忙であるというのは、案外知られていて「激務で大変だったでしょう」と言ってくれる企業が多かったですね。
有名な上場企業なので、ソフトバンクの実際の内部事情はよく分かっていなくても、割とすぐに話が通じましたね。採用されるのが難しい大企業といっても、ソフトバンクは店舗数の規模拡大のたびに、人材の大量採用を行っていた時があるので、実際は他の大手企業よりも採用されるのは、まだ楽だったと思いますよ。」
職務経歴書に堂々と記載することができる大企業のブランドネームはかなり大きいようだ。しかしながら彼は、安定した地方公務員に転職することを決めた。
「実際、もう大手の民間企業には懲りましたね。地方公務員になって年間の収入はガクンと落ちましたが、ノルマ至上主義の強いプレッシャーがないのは、気持ち的に本当に楽だと感じています」
最近の公務員は、残業も増えてきて大変なようだが、何はともあれ、彼は強制的な販売ノルマの縛りから離れたかったようだ。
まとめ:大企業ソフトバンクは多忙で激務だが、転職の際にはかなり有利
大企業であるソフトバンクは非常に多忙で激務、そして販売ノルマもあるが、やはり大企業としての待遇はあり、転職の際、その職務経歴はとてもポジティブに受け止められる…というのが彼の評価だった。
独身で野心的に一生懸命働いて、キャリアアップを狙っていく企業としては打って付けだが、結婚をすると、家族のための時間がなかなか作れず、エリアマネージャーより上位のキャリアアップも厳しいので、彼には生涯働ける会社ではなかったと言う。
ソフトバンクに就職や転職をしたいと希望している方は参考にしてください。
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