正社員への道として、派遣社員・契約社員から繰り上がってなるというルートは、これといった経歴やスキル、専門資格などを持っていない人間にとっては、非常に有効な道筋です。
もちろん、コミュニケーション能力があることや、仕事を効率的にこなす事ができるといった、職務経歴や資格の有無などからは見えない部分での優位性を持っていることが必要ですが、一般的な転職者の中途採用よりもずっと入社しやすいと言えます。
しかし、正社員へキャリアアップするためには、正社員登用試験に合格しなければならない事があります。正社員登用への希望人数がとても多い場合の選別方法として、小論文を書かせたり SPI などを使うことが多いです。
小論文や SPI などは、事前に対策用の期間を設けて準備していなければ上手く対応することができず、試験に不合格にされることが多いです。
しかし、逆に考えると、しっかりと事前に準備さえしていれば、正社員に登用される可能性は大いにあると言っていいでしょう。
それでは、派遣社員や契約社員から繰り上がって正社員登用されるまでの期間や、試験の内容について見ていきましょう。
正社員に登用される時期は入社してから3年ほど
求人広告などでは、「1年で正社員登用有り」などの文句が載っていたりしますが、それは多くの人を応募させる手段の一つであって、実際はそんな制度はない会社もあったりします。
現実的に、派遣社員や契約社員が正社員に登用される可能性があるのは、入社してから3年ほどのキャリアがある人が候補として上がるようです。
その理由ですが、契約社員は3年契約という場合が多く、より長期的な雇用を企業側が求める場合は、正社員の方に契約を切り替えるか、もしくは雇用契約を解除しなければならないからです。
また、会社に入ってから3年間も問題なく勤務できているのであれば、仕事も理解していて、組織への貢献度合いも高い場合が多いので、正社員に登用した方が長期的に見て会社側のメリットが多いという事もあります。
しかし、会社の規模が大きく多人数で、契約社員や派遣社員などの非正規雇用者で主に人員が構成されている企業の場合、正社員登用への希望者全員を正社員として雇用することは事実上不可能です。
したがって、正社員として抜擢されるためには、「試験の合格と上司からの推薦」と言う難関を突破しなければならないというわけです。
正社員登用試験は小論文と SPI が多い
正社員になるための登用試験の内容と言うと、一般的な就職活動と同様の「小論文と SPI 」、それと採用担当者との面接というのが多いです。
SPI の方は、本屋で売っている SPI 用の対策本を購入して事前に勉強しておけば、ほとんど問題なく対処できるので、事前準備をしっかりと行っておいて、他のライバル達を出し抜きたいところです。
正社員登用へのチャンスが目の前にあると分かっていても、案外、事前に勉強する人間は少なく、ここである程度の得点を稼いでおけば、最終面接で優位に立つことも可能になってきます。
よく聞く声として、
「 SPI なんてものは、実際の仕事には何の役にも立たないから勉強するだけ無駄」
という意見があります。
ある部分ではその通りなのですが、 SPI というのはあくまでも、出された問題・課題を解決する能力があるかどうか、という部分を見られているのであって、変に斜に構えていても仕方がないので、真正面から対策を取っていきましょう。
小論文は難しく書く必要はなく、仕事への熱意や会社への貢献をアピールする
小論文の方ですが、仕事に対するヤル気や熱意、そしてあなたを正社員に登用した場合、会社にどのような貢献ができるのか、などを見られる事が多いです。
学術的な小論文の構成で書く必要はなく、その会社の仕事に関することを、分かりやすく熱意を持って書かなければならないので、こちらはこちらで事前対策が必要です。
最良の方法は、自分が勤務している会社やその業界、そして職務内容をしっかりとリサーチして、その会社や業務に対して、自分が熱意とヤル気を持っていることを PR することです。
評価をあげようと、かっこつけて小難しい業界用語などをつらつらと並べる必要は全然なく、就職活動の面接時においての自己アピールのような形が好ましいでしょう。
求められる小論文の内容が自己PRのようなものであった場合、ある程度の定型文をいくつか事前に用意しておき、記憶しておくのも良いと思います。
「私は契約社員として3年間、企画開発の仕事に従事してきました。3年間、良い勉強をさせていただき、現場での実務経験を積むと同時に、契約社員という立場以上の業務に関わりたいと強く思うようになりました。もし正社員に登用された場合、これまでの実務経験を十分に活かし、今まで以上の勉強と努力を行い、御社の発展のために貢献したいと考えております。」
正社員に登用されないと出来ない業務に対してのヤル気と熱意、そして会社への貢献意欲でまとめておけばいいと思います。
正社員の採用試験は、手書きで行われる事が多いので、「御社」などの、普段はあまり使わないが、ビジネス上ではよく使われる単語などは記憶しておきましょう。
誤字・脱字などがあまりに多すぎると、ネガティブで頭の悪い印象を与えてしまう事になるので、最低限の言葉と文章の勉強はしておいて下さい。
求人募集に書かれてある「正社員登用有り」が虚偽の場合がある
ほとんど法律違反と言ってもいいぐらいですが、求人募集には「正社員登用有り」と書いているにも関わらず、誰一人として、正社員にする予定は無いという卑劣な会社があったりします。
経営に余裕がありそうな大企業であっても、正社員に登用されるのは、1年に1~2人ぐらいである、といったこともあります。
会社側から見れば、派遣社員という雇用形態は、会社の財務状況が悪くなったり、不況の波が押し寄せたりした時に簡単に首が切れる、といった所が魅力的な部分です。
優秀な人材をたまたま発掘することができれば、正社員への登用を行うこともありますが、それが実行される確率は著しく低い、というのが実際のところです。
もし可能であれば、その会社の過去の正社員登用実績をリサーチしてみたり、タイミングによっては派遣労働から脱却して就職活動を行っていく事も必要です。
正社員で募集している求人案件に応募するのは、やはり大変な事ですし、転職者の年齢が上がれば上がるほど難しくなってきます。
しかしそれは、派遣や契約社員であっても同様で、年齢の上昇に比例して正社員登用も困難になってきて、派遣切りにあった時に右往左往することになります。
年齢で考えると、20代が一番、就職も転職もやりやすく、30代であれば、結構な頑張りをもって就職活動を戦っていく必要があります。
20代という、「時間」という資産を持っている人ならば、雇用形態が派遣社員・契約社員などの非正規社員の職歴しかなかったとしても、就職活動は有利に戦っていくことができます。
正社員登用を 今の会社で本当にされたいのか どうかをしっかり考える
不安定な非正規雇用から正社員へのステップアップには、3年という決して短くない時間を会社に提供しなければならない。
そのため、今現在、勤務している会社の経営者や管理職と考えが合わなかったり、ブラック企業的な要素が見え隠れしている場合など、この会社で数十年も働くことが想像できないな…と思ったら、今すぐにでも切り捨てて、自分に合った会社を探して就職するべきでしょう。
非正規雇用の派遣社員などは、いつでも切り捨てられる人員で拘束もされない。
正社員登用有りという甘い文句で集めるだけ集めておいて、実際はボロ雑巾のように使い捨てているブラックな会社も多いので、その会社が卑劣な会社でないかどうかを、ちゃんと見定める必要があります。
実際、正社員登用までの3年間の勤務はとても長く、その間に年齢も上がってしまい転職市場では不利になってしまいます。
現実的に、正社員登用で就職したいのであれば、しっかりとした選択眼を持って、「会社に選ばれる」のではなく、こちらが「会社を選ぶ」ぐらいの意識を持っていきたいところです。
もし今の会社で、正社員になれる見込みが、かなり低いと感じている場合や、自分に合った別の会社を探して働きたいと考えている方は、無料で相談にのってくれる転職エージェントに登録して就職活動を行っていくことをオススメします。
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