日本人は英語が好きなんでしょうか。本屋さんに足を運べば、英単語や英会話などの本が溢れんばかりに積まれています。
イラストや漫画などが、ふんだんに使用されたカジュアルなものから、 TOEICやIELTS に合格するための試験対策用の書籍など、日本人はとても英語の勉強が好きなんだなと感心してしまうぐらい、英語のニーズは大きい。
しかし、実際のビジネスの現場で使用できるレベルの英語となるとどうでしょうか?
電話での不明瞭な英語のヒアリングや、臨機応変にその場面に即したフレーズを即答できるぐらいの語彙力、世界各国の英語訛りや、ネイティブに英語を話せる人のリンキング(二つの単語を繋げて一つの単語として発音すること)などを聞き取れなければならない。
正直に申し上げると、駅前の何とか留学に1年間通っても、ビジネスの現場で使うことができる英語は身に付きません。
この日本国で頻繁に英語を使う機会はありますか?
毎日、英語のシャワーをたっぷり浴びよう。これは、スピードラーニングや駅前留学などで頻繁に使われる定型フレーズだが、毎日1~2時間程度の英語を聞き続けてもほとんど何も変わらない。
その理由は、毎日どれだけ教材で勉強をしても、英語の使用頻度が極端に低いこの日本国に住んでいる限り、本番は永久にやってこないからだ。日本において英語の使用を強制される場面などは、ハッキリ言うと全くない。
日本で迷子になっている外国人に道を尋ねられても、現在は、スマートフォンの GPSナビなどを活用すればすぐに教えることができるし、各交通機関や観光地にいる外国人観光客が使う英語などは簡単な単語程度だ。
実際のビジネス現場で使用される英語は、日常英会話は当然として、専門知識が必要な業界用語や、日本人でもあまり使わない難しい単語が多く出てくる。医療・金融業界など他の業界でも同様だ。
そして、ビジネスの商習慣や交渉術も日本と、英語圏や他のアジア圏ではかなり違ってくる。向こうは、自分が主張したいことは直接的なワードを使って言ってくるし、自分の過ちや負けをなかなか認めない。
中国人にいたってはニコニコしながら平気で嘘をつくし、こちらのネゴシエーションが甘いとまるで聞く耳を持たない。
日本人がビジネス上において、全く違う商習慣を持つ彼らとタフな交渉をしようとする。もし仮に英語が流暢に話せたとしても多くの文化的な相違によって理解不能な場面に遭遇することになるのだ。
したがって、彼らの民族性や文化、通例となっているビジネス習慣、生活や食習慣に至るまで細かく知っていなければ全く使い物にならないのだ。
短期のなんちゃって語学留学をするよりも外国の大学にチャレンジしたほうが良い
やはり、生活環境や文化などは、お手軽な駅前留学で味わうことはできない。1年程度のなんちゃって語学留学なんてものは、海外旅行の延長線上ようなものだ。
そうなると、転職において活用できるレベルの英語を身に付けるにはどうすればいいのか?
答えはシンプルで、単純に海外の大学に入学すればいい、という事である。しかし、欧米などの海外の大学は結構、学費がかかる。たった1年通学するのに、大体100~200万円もする。
しかし、各州で独自性のあるアメリカであれば、学費がかなり安い州も存在し、ぼったくりのような語学学校に通学するよりも断然、費用対効果が高かったりする。
また、現地の大学となると語学学校のように、なんちゃって留学生のじゃぱにーずがおらず、日本語で話せる環境もなく、勉強の邪魔をされることもない。本国のネイティブスピーカー達と一緒に勉強するがことできるのだ。
現地のほとんどの大学生達は大学でしっかりと勉強に励む。日本の大学ほど、遊びに夢中になれる環境は他の国には存在しないだろうと思うくらい、海外の大学は大変厳しく、卒業するためにはかなりの勉強量が必要になってくる。
現地に居住して、現地の人々と同じものを食べ一緒に生活を共にすることで、英語のみならず生活習慣や食習慣、カルチャーを吸収し、プラス海外の大学を卒業したという肩書まで得ることができる。
これらが500万円ほどの投資と、3~4年の勉強期間で手にできるのだから、なんちゃって語学留学に100万円出費するよりも費用対効果は高い。
生涯学習やら、一生に一度の経験やら、聞こえのいい宣伝文句に踊らされてはいけない。
勉強というものは時間をかけてやれば良いというものではなく、3年・4年など、きっちりと期限を決めて覚悟を持ってやらなければ何も身につけることはできないのだ。
九九や、自転車の乗り方など、一度覚えれば決して忘れないのと同じで、英語という言語も、仕事やプライベートで毎日のように使用していれば決して忘れることはない。
英語を使用する仕事を得るためには、海外の大学を卒業して現地の企業に勤務する、あるいは海外の大学の卒業資格を引っさげて日本に凱旋し、日本の外資系企業に自ら身を置いて、鍛えていかなければならないのだ。
お受験用の英語が通用するのは日本だけ
英語力を活かして転職を成功させよう!などというフレーズからは、簡単そうな印象を受けてしまうが、実際のところは、3年・4年という期間の、飽くなき努力とたゆまぬ研鑽の日々があって、はじめてビジネスや転職に使える語学スキルとしての英語を身につける事ができるようになるのだ。
TOEIC何点以上であろうが、ワーキングホリデー・語学留学などの経験が数年あろうが、英語を生涯のスキルにするためには、英語を強制的に使わざるを得ない環境に身を置き続けられる決意と実力が必要である。
それができなければ、せいぜい、ご近所の英語教室の先生が行き着くところであろう。我々日本人は、英語という言語を高校や大学に入学するための手段としてしか使ってこなかった。
そのため、英語を覚えさえすれば転職にも有利になる、などと勘違いしてしまいがちだ。
だが、ビジネスの現場で求められる英語は、英語という言語だけではなく、ビジネスの商習慣を含めた英語圏の文化的理解と相互コミュニケーションなのである。
日本国内で勉強した「じゃぱにーずいんぐりっしゅ」を英語圏の人間とのタフなビジネス交渉に使ってやろうなどというのは、草野球チームのおじさんがメジャーリーグに挑戦するのと同じレベルなのだ。
英語でも他のスキルでもそうだが、転職先で使えるスキルを獲得するには、3年前後は必死で取り組まなければならない。
その決意と行動ができないなら、なんちゃって語学留学や、駅前留学は趣味の範疇と割り切って考えた方が、英語コンプレックスに陥らずに済み、かえって有意義なものになると思う。
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